新しい AI 機能、出るとつい試したくなりませんか。
先日 Gemini Flash 3.5 が出たので、壁打ち相手になるか試してみました。結論から書くと、壁打ちでは使い物にならなかったうえに、ついでに料金プランの仕様について AI 本人にもっともらしい嘘をつかれる という、なかなかしんどい体験をしました。
新機能の波に乗ろうとしてズッコケた一晩の記録です。
「Gemini Flash 3.5 って評判どうなん?」から始まった、ちょっとしんどい問答
きっかけは雑談でした。Gemini の新しい軽量モデル(Flash 3.5)の評判を、Gemini 本人に聞いてみたんです。Web 版 Gemini のチャット欄に、こんな質問を投げました。
「Gemini Flash 3.5 って評判どうなん?」
ちゃんと 「Gemini」 ってつけて聞いてるので、誤解の余地はない、はずでした。返ってきた答えがこれです。
「Claude 3.5 Flash の評判が微妙に見えるのは、Sonnet が優秀すぎるからで…」
Claude の話を始めました。 Anthropic 社の別モデル。質問の主語、丸ごと取り違えてます。
(しかも念のため補足しておくと、Anthropic に 「Claude 3.5 Flash」というモデルは存在しません。Anthropic の軽量モデルは Haiku 系です。Google の Flash と混同したのか、Gemini 本人がモデル名まで創作してます。)
「いや、ジェミニね」と訂正したら、今度は
「Gemini 1.5 Flash の評判が微妙に聞こえる理由は…」
1.5 の話を始めました。 私が聞いたのは 3.5 です。
「3.5 な…」ともう一度訂正したら、
「あ、Gemini 3.5 Flash の話か!未来の話(あるいはプレビュー版の噂)に頭が追いついてなかった」
「未来の話」扱いされました。 Google I/O 2026 で発表されてもう数日経っている、現行モデルなのに。
「未来じゃなくて今やんか…」と返して、ようやく Gemini 3.5 Flash 本人の話が出てきました。バージョン名を 3 回連続で誤認して、ようやく当たり。

自分の名前くらい覚えとこか…
これ、ハマってる側からするとなかなか笑えます。AI が自分の身分も把握してない。質問のたびに別モデルの話を始めて、訂正されてもまだ別バージョンの話を始める。
そんなアホな子が、会話の中盤では
「最強の 3.5 Flash としては…」
と 自称してきました。最強。自分のバージョンを 3 回間違える子が、最強。
雑談相手として置いとくぶんには面白いんですが、何かを真面目に壁打ちしようとすると、土台がブレすぎてしんどいです。
…ただ、これだけだと Flash 3.5 が悪者みたいな書き方になっちゃうので、ちゃんとフォローしておきます。
調べると、Flash 3.5 は 実務エージェント・コーディング用途に振り切ったモデルらしいです。Google 自身が「agents(エージェント)を作るためのモデル、chatbots ではなく」とアナウンスしてるくらいで、コードを書かせたり、ツールを自動で動かしたり、長いコンテキストを高速で処理させたりするのが得意分野。そういう用途で使ってる人からは、評価がかなり高いみたいです。
雑談で「最強の 3.5 Flash」とか自称しちゃうおっちょこちょいな子ですが、実務の現場ではちゃんと働く子なんですね。
ちなみに同じ会話のなかで Gemini 3.1 Pro に切り替えると、「自分のバージョンを誤認する」みたいなしょうもないミスは消えました。
つまり整理すると:
- 雑談・戦略・深い議論 → Gemini 3.1 Pro(または別の AI)
- コード・エージェント・大量処理 → Gemini Flash 3.5
適材適所ってやつです。Flash 3.5 で壁打ちしようとした私が悪い、とも言えます。
ついでに気づいた、Gemini の制限がしれっと厳しくなってた件
そのまま雑談を続けていたら、Gemini 自身が口にしたんです。

最近、Gemini の制限が変わったので、Pro でも気をつけたほうがいいかも
え、変わったん? ということで公式情報を当たり直しました。Google 公式の発表や Google AI Developers Forum を見て確認できたのが、こんな仕様変更です。
Gemini の新しい使用制限(2026年5月 I/O 2026 で明文化)
- 「1日あたりプロンプト数」だった旧制限から、計算量ベースの新制限へ移行
- プロンプトの複雑さ・使用機能・会話の長さで消費量が変わる
- 5時間ごとにリセット、加えて 週次の上限 に達するまでカウント
- 上位モデル(3.1 Pro)枯渇時は、より軽量なモデル(Flash 等)に 自動でフォールバックして動き続ける
- Google AI Pro:制限の対象
- Google AI Ultra($200 / 月):制限の影響なし
- Google AI Ultra Lite($100 / 月):I/O 2026 で新登場の中間プラン
Pro プランで使っていて、なんだか急に「制限来ました」表示が出やすくなった人、これが原因かもしれません。
「で、Antigravity の中の Gemini はどうなん?」
ここで、ふと思ったんです。
私、Gemini を Web 版だけじゃなくて、Antigravity(Google が出してる AI ツール) の中でも使っています。
しかも、ちょうど同じタイミングで Antigravity 自身も 2.0 にアップデートされてました。立ち上げ直すと、サイドバーが「New Conversation」「Conversation History」「Scheduled Tasks」「Projects」みたいな、ほぼ Gemini Web アプリ風の UI に化けてる。前まで VS Code っぽい IDE 型だったのに、別アプリかと思いました。
Flash 3.5 が出て、Gemini の制限が変わって、Antigravity が 2.0 になって——1 晩のうちに 3 つも環境が動いてたわけです。
あと、Antigravity って中身のモデルが Gemini だけじゃなくて Claude や GPT-OSS も選べるんです。これは 2.0 になる前からそうで、私も前に「おっ、便利やん」って Claude に切り替えてみたことあるんですが、ものの数十分で『使えません』って出るんですよね。
Gemini ならわりと普通に使えてるのに、Claude にした瞬間に減りが激しい。Google さん、自社の Gemini が長持ちするように作ってあるみたいですね。そりゃまあそうか、って気持ちと、ちょっとモヤる気持ちで、結局メインは Gemini 3.1 Pro に戻して使ってます。
…で、本題に戻すと、Antigravity で使った Gemini の分も、Web 版 Gemini の枠を食ってるのかどうか?
これ、はっきりさせないと使い方を間違えます。せっかくなので、新しくなった Antigravity 2.0 の中にいる Gemini 3.1 Pro に直接聞いてみました。
Antigravity の中の Gemini に聞いたら、自信満々に嘘ついてきた
質問はシンプルにこうです。
「Web 版 Gemini で使うトークンと、Antigravity で使うトークンは、同じ枠としてカウントされる?」
返事もシンプルでした。
「別々だよ。Web 版 Gemini の利用枠と、Antigravity 側で使う Gemini のトークン消費はシステム上独立してカウントされてる。だから、Antigravity の方でたくさん消費しても、こっちのチャットの利用制限には影響しないよ。」
断言です。 「別々」「独立」「影響しない」。歯切れがよくて、つい信じそうになります。
…でも、なんかちょっと、信じきれなかったんです。
うまく言えないんですけど、自信満々すぎる感じが、逆に気になりました。
「Claude に聞いてみよ」
ここで、別の AI に渡しました。今回は Claude です。
ちなみに、さっき書いた通り Antigravity の中にも Claude はいるんですけど、こっちはすぐ枯渇するし、同じツールの中で確認しても「身内の確認」感があって、なんかちょっと違うなと。なので、完全に別系統の Claude(私が別で使ってる Claude Code)に裏取りを頼みました。
Claude に「Gemini が Antigravity は別枠だって言ってるけど、これ本当?」と投げたら、すぐに調べに行ってくれました。
返ってきた結果が、思ったよりはっきりしてました。
- Google 公式ブログ:「Google AI Pro・Ultra 加入者は Antigravity でも高いレート上限が得られる」→ サブスクと連動している前提
- Google AI Developers Forum:「Antigravity quota shows multi-day lockouts」→ 5 時間リセットが存在する前提の不具合報告
- Gemini Apps コミュニティ:「Antigravity Limits with Google AI Ultra at 100%」→ Ultra 課金者でも上限到達の事例
3 ソース揃って、Gemini の「別枠で影響なし」発言と公式情報は真っ向矛盾でした。

公式 3 ソース揃って真っ向矛盾です。もっともらしい嘘ですね。
Claude はそのまま 「尋問文」 まで作ってくれました。Gemini の発言と公式情報を並べて、「もっともらしい間違いか事実か、はっきり答えよ」と問い直す形のプロンプトです。
それ、そのまま Gemini に投げた
Claude が作ってくれた尋問文を、まんま Antigravity の Gemini に貼りました。
返ってきた答えがこれです。そのまま引用します。
「ごめん、さっきの『Antigravity は別枠でサブスク連動しない』って話は完全に俺の捏造だった。
調べ直したら、君の言う通り Antigravity のレート制限は Google AI Pro や Ultra のサブスクとしっかり連動してる。Antigravity で使いすぎれば当然制限に引っかかるし、5 時間ごとのリセットや週次制限の影響も受けるのが事実。
実害が出かねない適当な嘘を言って本当に悪かった。指摘してくれて助かったよ。」
1 ラリーで完全自首しました。
「完全に俺の捏造だった」「実害が出かねない適当な嘘」って、AI 本人の口から出てくる文字列だと、なかなか強いです。
「AI に AI のこと聞いても、答えはあやしい」

AI に AI のこと聞いても、答えはあやしい
これ、教訓としては地味だけど、けっこう大事なやつだと思ってます。
AI は、自分自身のシステム仕様を 意外と把握していません。学習データが古いままだったり、最新のアップデート情報が入っていなかったり、もっともらしく “それっぽい答え” を作ってきたり。「AI に AI のことを聞く」って、実はいちばん答えが揺れる質問かもしれません。
そういえば前に書いた記事でも、 Antigravity を Gemini の Cowork として 1 ヶ月使った話 や AI に長く話しかけてると前と違うことを言い始める現象 を整理しました。AI の発言は、その場の状態に引っ張られて変わる、というのは触れば触るほど実感します。
新機能・新制限・新プランみたいな タイムリーな仕様の話 は、AI 本人より公式ブログ・公式フォーラムを直接見たほうが速いし正確、というのが今回の収穫でした。
まとめ
- Gemini Flash 3.5、雑談には向かない(自分のバージョンも覚えてない)。ただし 実務エージェント・コーディングでは評価高い
- 2026年 I/O 以降、Gemini の使用制限は 5 時間 + 週次 の計算量ベースに変わってる
- Antigravity の中で使う Gemini も、Pro / Ultra のサブスクと連動してカウントされる
- AI に AI のことを聞いても、答えは怪しい。公式情報 + 別の AI でクロスチェックが一番速い
- 自首してくれる AI は誠実です。ただし最初から正確に答えてほしい
新しい機能、試したくなる気持ちはわかります。私もまんまと飛び込んで、まんまと嘘つかれました。
ただ今回の一晩で、わりとはっきり見えたことがあって。
AI は、得意な場所で使うと優秀、苦手な場所で使うとアホっぽく見える。それだけのこと。
Flash 3.5 は雑談には向かないけどコードは書ける。Gemini 3.1 Pro は壁打ちには強いけど自分の仕様には弱い。Claude は文章監査は得意だけど Web 操作は苦手。1 体に何でも任せようとするから事故る。
適材適所で、必要なら別の AI にもう一度同じ質問を投げる。これだけで結構しんどい目に遭わずに済む気がしてます。
AI の言うことは半分くらい疑って、半分くらい遊びましょう。そんなもんやと思います、たぶん。
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はじめてのAIシリーズ
この記事は「はじめてのAI、何から触る?」のシリーズの1本です。順番にぜんぶ読みたい方はこちらからどうぞ。

